夜にはずっと深い夜を

2009年10月26日 21:58

でも知ってますか? 香りだけが残るんです。

夜にはずっと深い夜を夜にはずっと深い夜を

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鳥居さんの短編集。ちょっと話題になっていましたね。作りはベタだけど面白い。僕みたいに読むのが遅い人間でも1・2時間で読める。満足。

登場人物が、内にこもって、過剰にこだわって、明るく不幸に突っ込んでいく。そんなお話。短編はそれぞれが緩く関係している。時々見える、鳥居さんの言葉に対する敏感さも、ハッとさせられて気持ちいいかも。

よし、一つ僕もそんなお話を作ってみようか。(ちなみにネガティブキャンペーンではありません)

『野菜ジュース』

今日も皆して、人のことを不細工だの不健康だのと言いたいことばっかり言っちゃって。
これも野菜ジュースが足りないせいだわ。
今日は緑、明日はオレンジ、赤を飛ばして紫紫。
やっぱり、紫が一番好き。
この嘘くさい味わいは間違いないわ。
これで美容と健康は私のもの。

ふ、ふぅ、気分が悪いわね。
まだ野菜ジュースが足りないんだわ。
不健康不健康不健康。
きっと、オレンジよ。
明るく元気な偽者のオレンジが必要ね。
これで健康は私のもの。

何、この酷い顔色。汚い顔。
野菜ジュースがまだ足りないわ。
たぶん、緑ね。
緑が足りないから美容効果が薄いのよ。
ほらこの青臭い苦味が顔を引き締めるはず。
これで私も明日から美人だわ。

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
今にも吐きそう。
それに、この汚い顔色。
一体何なのこの鏡、壊れてるんじゃないの?
なんで私がこんなに醜いわけ?
ちゃんと映しなさいよ。
不細工な顔でこっち見ないで!

がしゃああん!

ほら。やっぱり間違ってるんじゃない。
きれいで健康な赤。
私から滴る赤。
やっぱり野菜ジュースは、赤に限るわ。


…上手く行かんね。なんでやってみようと思ったんだろ?(苦笑)
アイデアと過剰さが、もっと欲しかったなぁ、と反省。野菜ジュースを飲んでたから、野菜ジュースって時点で…って、本の話しないと。

例を作るのに失敗したから、本の紹介も失敗ですね。何か説明しようとすると嘘くさくって。統一感があるっちゃあるけど、意外とバリエーションもあるし、上手くまとまらない。あえて一つに印象をしぼると『演劇的』かなぁ…。

…眠い中作ったお話を消すのも悲しいし、今日はもうあきらめよう。

評価は★★★★☆(星4つ)
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ダブル・ジョーカー

2009年09月27日 03:49

「……ダブル・ジョーカーを使うつもりはない」
あの日、予期せぬ会見を終えて部屋を出て行こうとする風戸の背中に向かって、阿久津中将は低い声でそう言ったのだ。
「同じカードは二枚も要らない。どちらかがスペアだ」


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ジョーカー・ゲームに引続き、楽しんで読みました。この軽くて単純な面白さと来たら…!

設定もジョーカー・ゲームと同じで、第二次世界大戦直前の日本にこんなスパイ機関(D機関)があったら…というもの。短編が5つ。お話ごとに、軍の第三者の視点、スパイに追いつめられる人間の視点、スパイ自身の視点、と語り手が変わっていく。

たとえば、表題と同タイトルで、最初の短編である『ダブル・ジョーカー』は、軍の第三者の視点で語られる。D機関を煙たく思う軍隊で、新たなスパイ機関(風機関)が組織される。風機関の統率者である風戸の視点で、あるスパイ容疑者に対するD機関と風機関の勝負が描かれる。

ジョーカー・ゲームでも、初めのお話は軍の第三者の視点のものであった。これにより、D機関がこの時代にあって、いかに特殊なものであるかということが受け入れやすくなっていると思う。時代背景の説明やスパイ機関の説明が、説明臭くなく自然に扱われている。

思い返してみると、短編一つ一つのテンポの良さに加えて、お話の配置のバランスが良い。特に深くつながっていないお話を最後まで読んで、過不足なく終わらせるのはなかなか凄いテクニックなんではないか?

一つ残念かもしれない部分が、お話一つ一つのオチのインパクトがそれほど大きくないこと。「そりゃあ、すげぇや」っていう、さらに軽いノリの部分があると、僕みたいな深さを理解できない人間は、さらに楽しめたかも。

でも、全然満足。
★★★★☆(星4つ)

参考
本の山。 ジョーカー・ゲーム
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新世界より

2009年09月22日 22:56

そして、能力者側の反攻で形勢は逆転し、地球上のすべての政府は事実上瓦解しました。ここにおいて、現在の史書には載っていない文明、すなわち先史文明は完全にリセットされました。

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読む速度が極めて遅いので、睡眠時間を削った量が間接的に本の面白さを評価する指標になります。寝ないといけない時間になっても区切りがつかず、先が気になって…。そして、950ページ…(苦笑)
読むのにかけた2週間のうち、数日はほぼ徹夜に近い状態でした。その意味でもこの本は良い評価。

呪力が当然のものとして全ての人に備わっている未来の話。呪力とは念動力のこと。無尽蔵のエネルギーをすべての人が持っている世界で、ルールからはみ出しがちな子供たちのお話。教育・倫理という言葉が強調されている世界で、それに少し逆らうと見えてくる世界の歪さ。

道を少し逸れた瞬間あふれている死の恐怖に、さらに不信感は募り、最終的には取り返しのつかない事態が…

次々に起こるイベントに先が気になる作り方。細部まで作りこまれているので、こんだけ長いのにあまりダラダラしているような気はしない。読後に振り返ってみて、何にあんなにページを割いたんだろう?と思うような『薄さ』が、ある意味娯楽小説としては良いのだと思う。

だけど、貴志さんの文章は、触れているだけで気持ちいいというような文章ではないので、やっぱり短ければ短いに越したことはなかったな、と思う。正直、新しいもの読んだって気分もない。想像力豊かだな、とは感じるが、想像力が向かっている先は、あくまで細部で、お話の筋自体がズバ抜けている訳ではないと思う。不必要な部分もあっただろう。

逆に、最も重要な呪力のルール、それに付随する世界のルールに関する作りが不十分に感じて、読書の気分が阻害されたこともあった。細部の重みに対して、お話自体が十分しっかりしているかは疑問も残る。

読んでる最中は面白かったのに、読後に思い出してみると、不満も多かったみたい。やっぱり、僕にとって長過ぎたんだろう。
評価は★★★★☆(星4つ)
何にしろ、貴志さんの本で短いのがあったら読んでみようかと思います。
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