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依存

2008年12月31日 23:58

やれやれ、だ。よくいるいる、そいういう、自分の非常識を社会的正義と混同するひとって。どっちが変質者なんだか判りゃしない。

依存 (幻冬舎文庫)依存 (幻冬舎文庫)
西澤 保彦

幻冬舎 2003-10
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ある大学生グループに関するシリーズ。
酒を飲みながら語られる不思議な話に、主人公たちがロジックと妄想だけでオチをつけていく、そんなシリーズだ。
得られたインプットから、矛盾のないオチを捻出していく。
それはどれだけ突飛でも構わない、というか突飛であればあるほど楽しい。
鮮やかなオチを見せてくれる、僕のお気に入りのシリーズ。

今回はその主役の位置にいる匠千暁の過去について。
そのお話に現在進行しているお話が絡ませてある。

匠たちのグループが白井教授という先生の家に招かれる。
白井教授の新しい奥さんとして現れるのが、匠の産みの母親だという。
絶望のどん底に突き落とされたように見える匠から、少しずつ語られる過去。
匠は「双子の兄を母親に殺された」と言う。
少しずつ語られていく、ドロドロと込み合った事情。

その過去の話とかわりばんこに、今メンバーに起きている問題、過去の疑問が語られていく。
マンションのオートロックの扉に挟まれている小石の話から、
ケイコという名前の子が誘拐され、無傷のままお土産を持たされて帰ってくる話から、
想像が妄想と呼べるようなレベルで展開され、なぜかそれなりに満足のいくオチが作られる。
しかも、それがまたいろんな話に複雑に絡んでいて。

テーマはタイトルの通り『依存』
それぞれのキャラクターが、自分の中に育てた「拠り所」
それを守るために、周りを偽り、自分を偽り。
自分を偽るために、無理やり作り上げていく妄想がリアルだ。
そして、自分自身が、それに絡め取られていく。
もう、自分ではほどけない。

お話一つ一つは弱いお話。
でも、それが重なって、少しずつ満足が得られていく。
最終的には「ふぅ、西澤さんの本読んだぜぇ」って感じで終われる。
…うん、ファンのための本ですな。

そんな西澤ファンの僕の評価は★★★★☆(星4つ)
決して、西澤さんの本に手を出したことない人が読むべき本ではないと思う。

関連記事
本の山。七回死んだ男
西澤さんの名作といえば、これ。
本当はこのシリーズを薦めたいけど、記事を書いてない僕の怠惰が問題orz
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夏への扉

2008年05月11日 14:14

 綿毛の化物のような仔猫時代から、ピートはきわめて単純明快な哲学を編みだしていた。住居と食と天気の世話はぼく任せ、それ以外の一切は自分持ちという哲学である。だがその中でも、天気は特にぼくの責任だった。コネチカットの冬が素晴らしいのは、もっぱらクリスマス・カードの絵の中だけだ。その冬が来るとピートは、きまって、まず自分用のドアを試み、ドアの外に白色の不愉快きわまる代物を見つけると、(馬鹿ではなかったので)もう外へは出ようとせず、人間用のドアをあけてみせろと、ぼくにうるさくまつわりつく。
 彼は、その人間用のドアの、少なくともどれか一つが、夏に通じているという固い信念を持っていたのである。これは、彼がこの欲求を起こす都度、ぼくが十一カ所のドアを一つずつ彼について回って、彼が納得するまでドアをあけておき、さらに次のドアを試みるという巡礼の旅を続けなければならぬことを意味する。そして一つ失望の重なるごとに、彼はぼくの天気管理の不手際さに咽喉を鳴らすのだった。



夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))
ロバート・A・ハインライン

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大量に期間をあけて更新。
この間に読んだ本の中で一番面白いものをとりあえず書いてみようかと。

古いSF小説。
SF小説なんて古くなったら終わりなんじゃないかと思ってた。
現実が小説の中の年代を追い越し、現実は何か知らないが、やっぱり現実っぽいのだ、ってことになる。
ネタだって、尽きてくる。
「夏への扉」もコールドスリープとタイムトラベルなんていう使い古されたネタだった。

でも、何か人気があるようで。
読んでみたら、ページを繰るのが楽しくなる面白さだった。
SFの設定そのものじゃなくて、ストーリーでもっていく方法が良かった。

主人公はとある技術者。
マネジメントができる友人(マイルズ)と一緒に会社を興し、途中で雇った秘書(ベル)を恋人にした。
忙しくありながらも、人気商品を作ったりなんかして、なかなか幸せにやってた。
飼いネコ(ピート)もやたらとかわいいし。
が、ある時突然、その友人と恋人にだまされ、仕事を奪われ、コールドスリープに押し込まれる。
目覚めたら30年後。

ピートはどうしたんだろう?
憎むべきマイルズとベルはどこで何をやっている?

そして、巷にあふれるまるで自分が設計したかのようなロボットたち。
自分はこれから何をするべきか。
投資会社に預けていた株は、投資会社の倒産でなくなっていた。
一人頼りにできる姪を探して捜索を続けるも、行き詰まり。

さてさて…。

いや、面白かった。
文章の記述も翻訳家が頑張ったのだろう、読みやすい。
やりすぎのきらいがあるユーモアも、僕にはすんなり受け入れられた。

僕の評価は★★★★☆(星4つ)

ちょっと僕の記事でイメージが持ちにくかった方は他の人の書いたもっと秀逸な記事をご覧になると良いかと…
夏への扉 - SA・N・PO♪

ちなみに、この本は気になってブックマークしていたもの。
誰かが強く推薦しているものって、やっぱり悪くない。
オススメの本の探し方だったりする。

そういえば、SFな設定を使っているのに、むしろストーリーでもっていく、というやり方は僕が好きな西澤保彦さんの本に似てるかも。
気になったら以下も参考にして下さい。

関連記事
西澤保彦さんの本に関する僕の記事
七回死んだ男
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腕貫探偵

2007年12月31日 01:53

どんなに眼と鼻の先に置かれていても、心身ともに健やかな者の視界には絶対に入ってこないというものが世の中にはある。見えていても見えていない。

腕貫探偵 (ジョイ・ノベルス)腕貫探偵 (ジョイ・ノベルス)
西澤 保彦

実業之日本社 2007-12-14
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僕らしく、今年最後の記事は西澤さんの本で閉めよう。さすがに、大晦日なんかに本の愚痴とか書きたくないですしね。

期待通りの西澤さんド真ん中な本でした。ちょっと怪しい設定なのに、妙にすっきりするお話。短編小説だけど、つながりのあるお話をちりばめて、全体をハッピーエンドで終わらせる辺りもそれっぽい。個人的に、物語をハッピーエンドで終わらせられる作家さんの方が凄いと思っている。ひねらないとオチがつかなかった、というようなお話って凄いと思えないわけで。
本当はそろそろ短編じゃなくて、長めの西澤さんっぽい本を読みたいという正直な意見もあるわけですが、今回それは置いておこう。

櫃洗市の苦情係という貼り紙とともに"いかにも"な市役所職員が現れる。愛想がなく、役所的なお堅い服装で、形式にやたらこだわる。
そして、わざとらしい腕貫。
現れる場所は学校の学生課だったり、病院の中だったり、やたら自由。都合いいところに都合のいいタイミングで現れる。

貼り紙には、なんでも相談してくれ、というようなことが書いてある。市に対する苦情だけでなく、個人的な悩みでもOKだとか。そして、そこに個人的な悩みを抱えた登場人物たちが通りかかる。

この探偵、存在自体がものすごく都合がいい。お話の問題部分とオチの段差を無理やりつなぎ合わせるために現れる。この探偵の視点は完璧にお話を知っている人の視点。だから、あの人の行動の意図はなんだったのか、というような微妙な問題に対しても、断定。
「まったくちがいますね」
「それは当たっています」
淡々と断定。これがけっこういい。何となく不可解なお話がピタピタとおさまっていく。

楽しめるお話でした。
僕の評価は★★★★☆(星4つ)
ちょっとこの形式多すぎないか?という辺りが気になったところ。
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