スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

殺意の集う夜

2010年05月06日 02:33

それらの六人については、殺したのはあたしだ。

殺意の集う夜 (講談社文庫)殺意の集う夜 (講談社文庫)

講談社 1999-11-12
売り上げランキング : 325648
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

前回に続き、10年くらいあけての再読。面白いって分かってる本を読むのは、ストレスフリーで良いもんですね。懐かしさもあって、楽しい読書でした。

六人部(むとべ)万理は、友人の四月(わたぬき)園子に、なかば強引な手口で、山奥の別荘に連れて行かれることになる。二人は大学生。別荘の持ち主は、二人の大学の教師で一日宮(みのり)和徳という。この男は既婚者であるが、園子に猛烈に迫られている。そして、既に万理と不倫の関係にあったりする。

別荘についてみると先生がいないことが判明する。帰ろうとしてみるが、折悪く嵐の影響で帰り道が寸断されているという。別荘に泊まるしかないのか?なんて話していると、次々「嵐のせいで帰れなくて…」なんて人たちが別荘に集まってくる。何か、癖のありそうな人たちばかりがワラワラと。

万理はちょっとした勢いで、別荘にいる園子以外の全員を殺してしまう。不幸中の不幸…中の幸いと言うべきか、園子も何者かに殺されて死んでいる。「幸い」というのは「園子を殺した犯人に全ての罪をなすりつけてやれ」なんて考えから出た錯覚でしかないのだろうが、兎にも角にも、万理は園子殺しの犯人を推理することに。

さて、嵐で隔離された別荘で、本当は何が起こったのでしょうか?

物凄い展開です。勢いで六人の人を次々と殺していく下りは、ある意味、圧巻。
提示したいパズルのために、そのパズルが成り立つ状況を作る。それが、多少無理やりでもいいじゃないか、という開き直り。元々、異常な状況であるのだから、読み物として面白くあればいいじゃないか、そんな開き直り。
果てしなくシュール。それが、凄く良い。

しっかり、ふんだんに盛り込まれた技の数々が、次々と繰り出されてくるので、最後まで飽きない。お話のテイストが嫌いでさえなければ、おいしく頂けるんじゃないか?そう思う一冊。
★★★★★(星5つ)

[殺意の集う夜]の続きを読む

ランキング


スポンサーサイト

完全無欠の名探偵

2010年05月01日 05:07

ですからそれが山吹の特殊能力なのです、あの若者は話している相手の潜在意識を言語化させることができるのです

完全無欠の名探偵 (講談社文庫)完全無欠の名探偵 (講談社文庫)

講談社 1998-05
売り上げランキング : 493029
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


この本を読むのは2度目だ。そもそも、西澤さんの本にはまるきっかけがこの本。一度目はもう10年以上前だったと思う。

最近、読書を何となく楽しめない。そういう体質になってしまったのか?と不安になり、過去に最高に楽しめた本を漁ってみることにした。その時、初めに思い出したのが、西澤さんの本たち。4冊ほど買って、一気読み。
大丈夫、僕が本を楽しめなくなった訳じゃない。オチが分かってるのに、この本たちは面白い。

山吹みはるという男が、主人公。とある事情で、大学の事務として働くことに。そこでいろんな人と話すことになる。大学の同僚、生徒、先生…

この「話す」というのが、この本では肝になる。みはると話している相手は、舌が滑るように喋りたい気分になってくる。「あれ?なんでこんなこと話してるんだろ?」「自分、こんなこと覚えてたんだ…」なんて思うようなことを気がついたら話している。

話しているうちに、ふと、自分がなぜそんなことを覚えているか、どこが引っ掛かっていたかに気づく。あの時、あの人は、もしかして、こんなことをやろうとしてたんじゃないか…。

みはるはただ相槌を打つだけ。自分は一切考えない。むしろ、相手の至った結論にも気づかない。

会う人会う人、今まで気づいていなかった疑問に答えを出し始める。すると、それが少しずつつながっていくのが、読者には分かる仕掛け。

一つ一つ、小粒ではありながら、それなりに楽しい推論が、積み重なっていく快感。仕掛けは、これだけじゃない。たとえば、みはるの話と交互に語られる、ある少女の話。この話が本筋にどう絡んでくるか…

これは、何度読んでも面白い。

ところで、西澤さんの本の中でこの本が特徴的に思える部分があった。不思議な能力に対して意味付けを行おうとしている点。意味付けといっても、ある種SF的な意味付けで、上記のみはるの能力が科学的に説明される訳ではない。でも、不思議な能力がありまして…ってだけでは終わらないのが、これまた意外と、悪くない。

あくまで、ミステリー的な部分に重きを置きつつ、周辺も楽しく飾る。良いのではないでしょうか?

★★★★★(星5つ)
[完全無欠の名探偵]の続きを読む

ランキング


依存

2008年12月31日 23:58

やれやれ、だ。よくいるいる、そいういう、自分の非常識を社会的正義と混同するひとって。どっちが変質者なんだか判りゃしない。

依存 (幻冬舎文庫)依存 (幻冬舎文庫)
西澤 保彦

幻冬舎 2003-10
売り上げランキング : 141489
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ある大学生グループに関するシリーズ。
酒を飲みながら語られる不思議な話に、主人公たちがロジックと妄想だけでオチをつけていく、そんなシリーズだ。
得られたインプットから、矛盾のないオチを捻出していく。
それはどれだけ突飛でも構わない、というか突飛であればあるほど楽しい。
鮮やかなオチを見せてくれる、僕のお気に入りのシリーズ。

今回はその主役の位置にいる匠千暁の過去について。
そのお話に現在進行しているお話が絡ませてある。

匠たちのグループが白井教授という先生の家に招かれる。
白井教授の新しい奥さんとして現れるのが、匠の産みの母親だという。
絶望のどん底に突き落とされたように見える匠から、少しずつ語られる過去。
匠は「双子の兄を母親に殺された」と言う。
少しずつ語られていく、ドロドロと込み合った事情。

その過去の話とかわりばんこに、今メンバーに起きている問題、過去の疑問が語られていく。
マンションのオートロックの扉に挟まれている小石の話から、
ケイコという名前の子が誘拐され、無傷のままお土産を持たされて帰ってくる話から、
想像が妄想と呼べるようなレベルで展開され、なぜかそれなりに満足のいくオチが作られる。
しかも、それがまたいろんな話に複雑に絡んでいて。

テーマはタイトルの通り『依存』
それぞれのキャラクターが、自分の中に育てた「拠り所」
それを守るために、周りを偽り、自分を偽り。
自分を偽るために、無理やり作り上げていく妄想がリアルだ。
そして、自分自身が、それに絡め取られていく。
もう、自分ではほどけない。

お話一つ一つは弱いお話。
でも、それが重なって、少しずつ満足が得られていく。
最終的には「ふぅ、西澤さんの本読んだぜぇ」って感じで終われる。
…うん、ファンのための本ですな。

そんな西澤ファンの僕の評価は★★★★☆(星4つ)
決して、西澤さんの本に手を出したことない人が読むべき本ではないと思う。

関連記事
本の山。七回死んだ男
西澤さんの名作といえば、これ。
本当はこのシリーズを薦めたいけど、記事を書いてない僕の怠惰が問題orz
[依存]の続きを読む

ランキング




広告




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。