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考具―考えるための道具、持っていますか?

2009年04月29日 23:28

常日頃思うのですが、考えることが仕事なのに、そのための道具を持っていない人があまりに多い気がします。わたしたちは毎日何かアイデアを考え、企画にして、実行することで対価を得ているのです。しかしそのためのインフラ=道具の充実度はあまりにも酷い。最新鋭機種のパソコンの前にずっと座っていても、何も浮かんできません。考えるためにどうすればいいのか???

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今さら、こんな本を読みました。いろんな本を読みっぱなしにしていますが、書けるタイミングで読み終わった本がこの本でして…。ああ、あの本もこの本もほったらかし。読み終わったのは、こんな今さら内容を紹介するのも憚られるような本。…残念。

…と、こんな残念な形ではありますが、なかなか楽しめました。全く新しさはない本なのですが、考具という新しい軸でごっそりと集められてきたことで、それらが新しい価値になっているのかもしれません。

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」


って言葉通りじゃないですか。
ちなみに、この言葉は、
アイデアのつくり方
ジェームス W.ヤング
4484881047

この本からの引用です。アイデアに関する本としては、僕は「アイデアのつくり方」の方が好きです。「考具」は、「アイデアのつくり方」の質をちょっと低くして、その分、使いやすくしたものという位置づけだと思います。

それぞれの考具については、今さらなんで置いておいて、アイデア作り一般について適当に思うところを。

僕は、アイデア出すのが難しいとか、あんまり思ったことがありません。「企画」ってレベルにまで作り上げた回数はそんなにないので、「考具」が扱っている話題全てを簡単だと言うことはできませんが、アイデア出すくらいなら簡単だと思っています。

僕は基本的には「考具」に近い発想法をしているようです。どちらかというと、アイデアとなる既存の要素の組み合わせとして「より突飛な組み合わせ」を積極的に選ぶ傾向はありますが、その時目に入ったものをアイデアの素としたりしてアイデアを作る辺り、似た手法を採用していたのかな、と。
そして、「誰にでもできることだ」「できない人はやり方を知らないだけだ」と考えていた訳です。その点については、考具って本も似たような発想の本だと思います。

後は、「質」なんですよ。僕はこの部分こそ難しいと思います。
アイデアは「既存の要素の組み合わせ」ってことで異存ないのですが、「信じられないほど新しいのに、信じられないほどぴったりの組み合わせ」って奴が時々ありますよね。この度合をアイデアの「質」だとすると、たぶん、「考具」って本が弱い部分もここだと思うんです。本に載っている例が既に低品質なのが、特に残念。確かに、この程度の「質」までならば、この程度のノウハウで何とか辿り着けるだろうさ。「量」を出せれば、時に「質」が高い組み合わせが見つかるかもしれない。でも、ある程度だというのも間違いない。

「質」はセンスだろ。
ここは譲りたくない。

「アイデアのつくり方」はアイデアを待つステップってのがある。「考具」には扱えなかったこと。僕にもイマイチできないこと。きっと、センスが働く時。
もしかしたら、質の高いものに浴びるように触れられれば、何かわかるのかも?
そんなことを思いながら、自分が「いいなぁ」と思うものに日々敏感に生活し…たいのに、何だか余裕がなくなってきて泣きそうな、そんな4月最後の更新でした。

★★★★☆(星4つ)
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予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

2009年01月21日 02:17

もうひとつ、わたしの考えでは、わたしたちは不合理なだけではなく、「予想どおりに不合理」だ。つまり、不合理性はいつも同じように起こり、何度も繰り返される。消費者であれ、実業家であれ、政策立案者であれ、わたしたちがいかに予想どおりに不合理かを知ることは、よりよい決断をしたり、生活を改善したりするための出発点になる。

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予想以上に面白かったです…って書くと、いろんな人とカブって気恥ずかしいだろうな、と思った。だから、調べてみましたよ。どれくらいの人がこの本のことを「予想以上」って言ってるか。
"予想どおりに不合理" "予想以上" - Google 検索
一応検索結果は3550個とか出ますが、実質120個程度。しかも、そのほとんどがある有名ブログのある記事の関連ページです。⇒ある有名ブログのある記事(ちなみに、この記事を読んでこの本を買いました)
この"404 Blog Not Found"さんのブログも「予想以上に面白い」とは言っていないので、僕が確認できた「予想以上に面白かった」は2件。おっ、予想以上に少ない。…ふぅ、では改めて。
予想以上に面白かったですよ、この本(笑)
…ちなみに、僕が見つけた2件のうちの1件『予想どおりに不合理』 - val it : α → α = funには、
予想以上に面白かった(って言う人は多そうだなー)。

って書いてあり、しかも、引用箇所がカブってたりする。後出しの僕としては内容を変えるべきかもしれないが…まあ、許してもらおう。

行動経済学って分野の本らしいです。そんな分野知らなかったんですが、いや、なかなか楽しそうです。普通の経済学みたいに、人の行動を合理的だと仮定して問題を解くのではなく、実際に人の行動を観察して構成していく経済学、ってところでしょうか。思いついたら、即実験。この本では、けっこう遊び心の見える実験が紹介されています。実験を思いつくたびに、にんまりと笑う筆者が目に浮かぶ、と言いますか。

実験の内容は、たとえば、「無料」という言葉の不合理な威力を示す、こんな実験がありました。
リンツのトリュフ(高級チョコ)とハーシーのキスチョコ(安いチョコ)の2種類を用意する。トリュフを1個15セント、キスチョコを1個1セントで売り出す。買う人はどちらか一つしか買えない。すると、人は合理的に値段を判断し、75%くらいの人がトリュフを買った。
ここで、それぞれ1セント値下げする。つまりキスチョコは「無料」だ。従来の経済学で予想すると、相対的な選好の差は変わらないから、大体75%の人がトリュフを選ばなくてはならない。
結果は、予想どおり逆で、キスチョコが圧倒的な人気。
「無料」が絡むと、人は予想どおりだけど、不合理な行動をとってしまう。

本当に、いろんな実験が登場する。次々にやってくる面白実験が、「ああ、ありそうだ」で終わらない説得力を与える。たとえば、上の状況で「常識的に考えてトリュフを選ぶだろ」みたいな人も、ただ自分が少数派であることを認識して、ストレス少なく読み進められるだろう。
次のリンク先でも本書で取り上げられている不合理に言及しているので、のぞいて見てはどうでしょう?で、もし本を読まれるなら、それがどうおいしく料理されているか見てみるのも楽しいと思います。
予想どおりに不合理 - 情報考学 Passion For The Future

この本、何より筆者のウィットに富んだ話しぶりがいい。日本の本ではなかなか見れない。続きが気になる面白い実験、飽きない文章…。良い本だと思う。
僕の評価は★★★★★(星5つ)

関連しそうな記事
本の山。 反社会学講座 -
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アンガー・マネジメント

2008年12月11日 01:24


「『なぜ自分は怒るのか?』の原因を徹底して追及するよりも、『自分は怒りをコントロールしてどのようになりたいのか?』を思い描いていこう」


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この本は、安藤さんからいただきました。
とても嬉しかったのですが、なかなか記事を書けず…
申し訳ない限りです。
申し訳なさとは関係ないのですが、この本、なかなか面白く読めました。

「怒り」をどうやってマネジメントしようか、という本。
僕みたいにイライラしやすい人間としては、エッセンスをゲットしておきたいところ。
それがけっこうサラッと入ってくる。
マネジメントするコツは一言で言うと、「いかに自分の怒りや怒りの元を客観視するか」

怒りそうな瞬間、いかにその状況を自分から引き離すか。
怒ってしまった経験、それをいかに分析できる状況に変えるか。
そして、怒らない仕組みを作っていく。
まとめてしまったらそのまんま過ぎる気がするけれど、この本のいいところは、納得しながら実践できそうなところ。
やるべきことが具体的で、読後に気持ち悪いところも残らない。

ちょっと難を言うとしたら、薄いかもしんない。
同じ内容を身につけるのに、一冊の本が必要かな?
十分文字数は少ないけれど、実はもっと少なくてもいいんじゃないかという気が若干…

僕の評価は★★★★☆(星4つ)

少し前に読んだ「 もう、不満は言わない」という本もネガティブな感情を追い出す悪くない提案が書かれていた。
自分の気持ちを客観視し、ネガティブな感情が起こらない仕組みを作っていくというところは似ている気がする。
あっちも若干薄く感じてしまったのだけれど、特に自分の行動の客観化部分に関してはかなりお気に入りの本だったりする。
流行っている方向性なのかな?とちょっと気になってみたり。

そういえば、一つ思いついたことをメモしておこう。
自分の嫌いな気持ちを消していくために、自分から遠くに置くという手法があるなら、歓迎すべき気持ちをできるだけ近くにもってきて、モチベーションを上げたりできそうな気がする。
今すぐ仕事に集中できる!みたいな方法があると、僕みたいにダラダラした人間にはとってもいい気がするんだけどな…

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