本の山。

読んだ本についてレビューします。その本のアマゾンのレビューを読んで、文句をつけたりして、自己満足に浸ります。

 

あるいは、もう少し正確に、でもちょっと変な言い方をすれば、論理学は日本語文法の一部であり、かつ、日本語文法を越えている、そう言いたくなります。


入門!論理学入門!論理学
野矢 茂樹

中央公論新社 2006-09
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野矢さんの本。
はずしたくない著者さんの一人。
そして、当然、この本もかなり面白かった。

論理学に入門しつつ、ついでにその本質に触れてみよう、という本。
そのテーマに沿う形で、汎用性の高い言葉たち、「〜ではない」(否定)、「かつ」(連言)、「または」(選言)、「ならば」(条件法)、「すべて」(全称)、「存在する」(存在)、が丁寧に扱われている。

まずはこれらの言葉の論理法則を明らかにする。
明らかにするためには、その言葉を使った命題が何から導かれ(導入則)、そしてその命題が何を導くのか(除去則)が問題になる。

たとえば、「かつ」について「AかつB」という命題を考える。
どういう時に「かつ」を使った命題が作れるのか(「かつ」を導入できるか)
どういう時に「かつ」を使った命題を分解できるのか(「かつ」を除去できるか)
これが「かつ」という言葉を知る上で、重要になる。

何か難しそうな雰囲気(?)だけど、実際は単純で、
「A」という命題と「B」という命題から「AかつB」という命題が得られる。
これが導入則(笑)
「A,B→AかつB」とか書いてあったかな。
これは、「Aが正しい」と「Bが正しい」が別個に与えられた場合、「AかつBが正しい」が言えるということに等しい。

また除去則は、書き方をまねると、
AかつB→A
AかつB→B(除去則)
こんな感じになる。
「AかつBが正しい」を「Aが正しい」と「Bが正しい」の二つに分解し、「かつ」を除去できる。

これぐらいなら、当然と言えるかもしれない。
でも、これを上記のたった6つの言葉について繰り返すだけで、驚くほど広い世界が開ける。
そして、それですら論理学の入り口なんだよ、ということが本書では語られている。

普通の論理学の本なら入り口から記号を使いまくって説明されるそうだ。
だが、この本では記号を使わないことにこだわっている。
その分、冗長に見える表現が増えるが、それはそれで趣き深いし、飽きないように配慮されてる。
たとえば、文章はできるだけ軽い口調で面白いし、トピックも豊富だ。
野矢さんの意図としては、記号を使わないことで、論理学の入り口をよりナチュラルに体験できるのだとか。

満足の一冊だった。
論理学について少し勉強してみようかな、とも思う。
僕の評価は★★★★★(星5つ)
文句なく。


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ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』を読む
野矢 茂樹 (2006/04)
筑摩書房


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『『論理哲学論考』を読む』という本書は、まさに『論理哲学論考』を読む本なのである。


さて、僕の大好きな野矢さんの本。
カバーに野矢さんの写真。
ノリノリなのか、茶番だと思っているのか分かりづらい表情が面白い。

本書も面白かった。
『論理哲学論考』に対する理解は深まったと思う。

でも、僕の中では、今までの野矢さんの本に対する満足の度合いから言うと、厳しい。
とりあえず、面白かったという前提で、僕が減点に感じた点をあげてみようと思う。

まず、胡散臭い。
哲学って、胡散臭さがいやだ。
相手が反論できなければ、それでいいのか?
その微妙な例は一般性があるつもりか?
その議論で、実際本人は満足なのか?
そんな疑問がとめどなく出てきて、こんな疑問が出てくるような主張は嫌いだ。
だって、騙されたような気がするんだもん。
僕は頭の固い人間なのだ。

で、今までの野矢さんの本はほとんどこういうのがなかった。
それはある種感動だった。
ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』もそういうのがなかったような気がする。(これは僕の理解が足りないだけな恐れも強い)
が、この本は、胡散臭かった。
非常に残念だった。

そして、次が、あまりにも恣意的に見える『論考』の読み方。
論考にはこういうことが書いてあるから…という前提での解釈は見ていて辛かった。
同じような理由で、めちゃくちゃあっさりと捨てるところもある。
「このように書いてるから、むしろこうだ」とか言い出したりすると、もう意味不明。
『論考』を読んでるんじゃなくて、大筋は野矢さんの考えが述べられているだけ、という印象だった。
それに必要な論考の一部や、その他の資料を都合よく引っ張ってくる。
そういう部分を通過するとき、モチベーションの維持が大変だった。

ただ、それでも面白かったという印象が残っている。
名と対象の関係などに関する、論考の前半部分の理解が大きく進んだことも大きいだろう。
実際、この本の出だし付近はかなりのめりこんで読めた。

そして、ウィトゲンシュタインの言葉の引用が僕のモチベーションをところどころで回復させた。
特に、

幸福に生きよ!


なんて痺れたなぁ。
ウィトゲンシュタインみたいに内へ内へこもっていきそうな人(僕の勝手なイメージ)が、こういう言葉にたどりつくのが凄い。

幸福…

ウィトゲンシュタインがいかに必死に考えていたか、その事実が感動だ。
読み終わって清清しい。

僕の評価は★★★☆☆(星3つ)
うん。こんなもん。


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