他人に傷つけられることはあっても、他人を傷つけることは決してない。
それがオレという人間だ。
そう思い込んでいた。西澤さんの作品。
本屋で見つけるまで存在すら知らなかったけど、見つけて即購入。
近頃、西澤さんらしくない本ばかり読んでいたけど、これもこれでらしくない。
でも、これはこれで面白かった。
ある男の一人称で、中学生から中年までの人生が書かれている。
中学から高校までをブラスバンド部で過ごした彼の周りで起こった、二度の楽器紛失事件。
そして、その後起こる友人の死。
その死体のそばで見つかった、失われた楽器。
全てを引きずり、精神的にボロボロになりながら、終わりまで粘着質に進む。
主人公は周りに無頓着で、自意識過剰。
いろんなことを他人のせいにして、現実から逃げ続ける。
読んでて気分が悪いけど、身につまされるというか…。
僕がこれに近いタイプの人間なのかもしれない。
そのせいか、妙に切なかった。
むしろ、辛かったと言っていいかもしれない。
お話の最後も救われない。
いや、救われたのかもしれないが、それでも・・・
楽器を盗んだ犯人、そして友人の死の真相に関しては、「ふぅん…」程度の解決。
可もなく不可もなく。
このお話にはよく合っているかもしれない。
ただ、冒頭がミステリィ小説ど真ん中の展開を強く予想させるものであったため、あまりにもアンバランスな感じは受けた。
今考えてみるに、あの冒頭でこの内容はよくないかもしれない。
冒頭は余分だろう、とか言ってみたり。(←こういうこと言う奴が基本的には嫌い(笑))
後一つ。
この本はタイトルが秀逸だと思う。
黄金色(きんいろ)の祈り。
いや、タイトルだけ見たら普通だけど、内容を読むと、このタイトルがグッとくる。
本を読みながら、何度もタイトルを意識した。
僕の評価は★★★★☆(星4つ)
うん、やっぱりタイトル重要。
お話が上手いのは、西澤さんだから当然のことだし。