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地図男

2008年11月16日 18:56

すると、しだいに見えてくる。それはどれも、それぞれの土地土地に深い関連性をもった、行動の軌跡を地図上にえがく人物たちの物語群だ。

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これも勢いで買ってみた本だ。
近頃、衝動買いが3冊ほど続いて、その2冊目がこの本となっております。
ちなみに、衝動買い三部作は「ジョーカー・ゲーム」「地図男」「のぼうの城」
勢いだけで買ってしまう方が当たるのかもしれない。

つまりは、この本もそれなりに楽しめた訳です。
雰囲気が良い。
一言で言ってしまうと、先が気になる『枝葉』だけでできているような本です。
きれいな枝ぶりに、風流な葉の付き方…どんな木なんだろう?
そう思って近づいていくと、幹は意外とヒョロっと力なく、でも形はそんなに悪くない。
たとえ幹が弱いとしても「木がきれいだ」って言う時はたいてい、葉の色とか付き方が問題で…

…と無駄に抽象的な話は終わりにして、内容に触れてみよう。

語り手はある時、地図を抱え、それに物語を記しながら歩いてる男を見つけます。
それはちょっと奇抜な物語。
それ以上に、気になる地図。
地図に書き込まれた物語は、書きこまれた土地と関連のあるお話になっていて、物語の舞台が変われば、それにつれて物語が書き込まれる場所も変わっていく。
何の道しるべもなく、書き綴られたお話に、語り手ははまっていく。
同時に、なぜ地図男がそんなことをしているのか、気になって仕方がなくなってくる。

ある日、地図男がリアルタイムで物語を更新しているところに出会う語り手。
その地図男の異常な様子に…

なかなか見事な枝ぶりでしょう?
ま、僕の説明能力が現在進行形というか過去完了な感じで問題になってますが。

でも…
満足したような雰囲気を出しておきながら、俗世にまみれた僕としては、やはりズンと来るオチを期待してしまう訳です。
それなりにきれいに終わるんだけど、ちょっと物足りない。
そんなこんなで、★★★★☆(星4つ)

ちなみに、読むのがきわめて遅い僕でも、数時間で読み終わる本なので、普通の人なら本当に1時間の本じゃないでしょうか?
隙間にちょっと軽めの読書がしたい人は挑戦してみるのもありかもしれません。

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君の望む死に方

2008年11月15日 07:37

 日向は気分を切り替えて、食堂に戻ろうとした。そこで、椅子の移動どころではない異変が玄関ロビーに生じていることに気づいた。
 日向は目を疑った。
 九谷焼の花瓶に、花が活けられていたのだった。


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一代で会社を成してきた日向という男のお話。
ガンと余命半年を宣告された時、その男が考えたのは「よし、殺されよう」ということだった。
殺される相手は、自分を恨んでいるに違いない梶間という男。
しかし、いかにもわざと殺されると、相手の気持ちが成就されないで終わってしまうかもしれない。
日向は、相手が自分を殺すのを『相手にばれないように』支援していこう、という結論に達する。

たとえば、社長という自分の立場を利用して、会社の保養施設に社員であるところのその男を呼びつける。
たとえば、施設内で、今にも落ちてきそうな大きな時計の下に、自分の『椅子』を配置してみる。
たとえば、いかにも人を殴るのに適した『花瓶』を、花を活けずに手頃な場所に置いておく…

さて、ここで上記の引用である。
「誰かが、殺されるのを邪魔している?」
どれも些細でさりげない細工であったはずなのに、誰かが自分が施した仕掛けを次々に無効化していく。
どうして、それが危険な仕掛けだと気付いたのか?
そいつは「誰が誰を狙っているのか」ということまで気付いているのか?
静かに、ゆっくりとお話は進んでいく。

シリーズとしては、「扉は閉ざされたまま」の続きにあたる本書。
あの本がけっこう好きで、今回も手にとってみた。
設定の新しさや、お話の緻密さはこっちでも顕在だと思う。
が、ギュッと引き締まった感じは弱い。
新しい設定ではあるが、細かいところの必然性が強くないのが問題なんだろうと思う。
もちろん、石持さんもそこに力を入れているようだけど、むしろそこを補強しようとすることで、ダラダラした感じが出てしまっているんだろう。
言葉を尽くして説明すればするほど、白けるという面も若干ある。
謎解き部分のパンチも残念ながら弱い。
楽しめるには楽しめたけれど、不完全燃焼気味かなぁ。

評価は★★★☆☆(星3つ)

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…こっちは読む価値高いと思う。
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ジョーカー・ゲーム

2008年11月05日 00:32

この連中を動かしているものは、結局のところ、
――自分ならこの程度のことは出来なければならない。
という恐ろしいほどの自負心だけなのだ。



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帯の宣伝が気になって衝動買い。大正解の買い物でした。

第二次世界大戦直前の日本に、スパイ養成機関があったら、という設定。スパイなんて卑怯なことしなくても日本が戦争に負けるはずがない。そういう風潮の中でD機関と呼ばれるスパイ養成機関を一人で作りあげてしまったのが、かつては自身も優秀なスパイであり、現在は「魔王」と呼ばれ恐れられる、結城中佐という男。集められてくる人間も、また癖のあるものばかりで、選抜の時点でこんな試験に軽々と合格している。

 たとえばある者は、建物に入ってから試験会場までの歩数、及び階段の数を尋ねられた。
 世界地図を広げてサイパン島の位置を尋ねられた者もある。その地図からは巧妙にサイパン島が消されていて、受験者がそのことを指摘すると、今度は広げた地図の下、机の上にどんな品物が置いてあったのかを質問された。
 まったく意味をもたない文を幾つか読まされ、しばらく時間が経ってからその文を、今度は逆から暗唱させる試験があった。


スパイは自分以外、誰も信用できない土地で、一瞬も気を抜くことなく、時に何年も自らを隠し通さなければならない。天皇陛下のために敵を殺し、死んでいくことこそが賛美される世界で、彼らは「死ぬな、殺すな、目立つな」と教えられる。その極まったストイックさと優秀さは単純にかっこいい。

またこんなにも「ど真ん中フィクション」なお話をリアリティを持って演出する文章もものすごい迫力があった。無駄のない文章が強烈に余韻を残す。心から満足。
評価は★★★★★(星5つ)

冒頭の数ページだけアマゾンで読めるようです。読んでしまった僕としては、「後、もうちょっと読めるようになってたらグッとくるのに」と思うところですが、気になる方は以下から読んでみて下さい。
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