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ダブル・ジョーカー

2009年09月27日 03:49

「……ダブル・ジョーカーを使うつもりはない」
あの日、予期せぬ会見を終えて部屋を出て行こうとする風戸の背中に向かって、阿久津中将は低い声でそう言ったのだ。
「同じカードは二枚も要らない。どちらかがスペアだ」


ダブル・ジョーカーダブル・ジョーカー

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ジョーカー・ゲームに引続き、楽しんで読みました。この軽くて単純な面白さと来たら…!

設定もジョーカー・ゲームと同じで、第二次世界大戦直前の日本にこんなスパイ機関(D機関)があったら…というもの。短編が5つ。お話ごとに、軍の第三者の視点、スパイに追いつめられる人間の視点、スパイ自身の視点、と語り手が変わっていく。

たとえば、表題と同タイトルで、最初の短編である『ダブル・ジョーカー』は、軍の第三者の視点で語られる。D機関を煙たく思う軍隊で、新たなスパイ機関(風機関)が組織される。風機関の統率者である風戸の視点で、あるスパイ容疑者に対するD機関と風機関の勝負が描かれる。

ジョーカー・ゲームでも、初めのお話は軍の第三者の視点のものであった。これにより、D機関がこの時代にあって、いかに特殊なものであるかということが受け入れやすくなっていると思う。時代背景の説明やスパイ機関の説明が、説明臭くなく自然に扱われている。

思い返してみると、短編一つ一つのテンポの良さに加えて、お話の配置のバランスが良い。特に深くつながっていないお話を最後まで読んで、過不足なく終わらせるのはなかなか凄いテクニックなんではないか?

一つ残念かもしれない部分が、お話一つ一つのオチのインパクトがそれほど大きくないこと。「そりゃあ、すげぇや」っていう、さらに軽いノリの部分があると、僕みたいな深さを理解できない人間は、さらに楽しめたかも。

でも、全然満足。
★★★★☆(星4つ)

参考
本の山。 ジョーカー・ゲーム
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新世界より

2009年09月22日 22:56

そして、能力者側の反攻で形勢は逆転し、地球上のすべての政府は事実上瓦解しました。ここにおいて、現在の史書には載っていない文明、すなわち先史文明は完全にリセットされました。

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読む速度が極めて遅いので、睡眠時間を削った量が間接的に本の面白さを評価する指標になります。寝ないといけない時間になっても区切りがつかず、先が気になって…。そして、950ページ…(苦笑)
読むのにかけた2週間のうち、数日はほぼ徹夜に近い状態でした。その意味でもこの本は良い評価。

呪力が当然のものとして全ての人に備わっている未来の話。呪力とは念動力のこと。無尽蔵のエネルギーをすべての人が持っている世界で、ルールからはみ出しがちな子供たちのお話。教育・倫理という言葉が強調されている世界で、それに少し逆らうと見えてくる世界の歪さ。

道を少し逸れた瞬間あふれている死の恐怖に、さらに不信感は募り、最終的には取り返しのつかない事態が…

次々に起こるイベントに先が気になる作り方。細部まで作りこまれているので、こんだけ長いのにあまりダラダラしているような気はしない。読後に振り返ってみて、何にあんなにページを割いたんだろう?と思うような『薄さ』が、ある意味娯楽小説としては良いのだと思う。

だけど、貴志さんの文章は、触れているだけで気持ちいいというような文章ではないので、やっぱり短ければ短いに越したことはなかったな、と思う。正直、新しいもの読んだって気分もない。想像力豊かだな、とは感じるが、想像力が向かっている先は、あくまで細部で、お話の筋自体がズバ抜けている訳ではないと思う。不必要な部分もあっただろう。

逆に、最も重要な呪力のルール、それに付随する世界のルールに関する作りが不十分に感じて、読書の気分が阻害されたこともあった。細部の重みに対して、お話自体が十分しっかりしているかは疑問も残る。

読んでる最中は面白かったのに、読後に思い出してみると、不満も多かったみたい。やっぱり、僕にとって長過ぎたんだろう。
評価は★★★★☆(星4つ)
何にしろ、貴志さんの本で短いのがあったら読んでみようかと思います。
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あるキング

2009年09月03日 23:30

王様は、バットを持ってんだよ

あるキングあるキング

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伊坂さんの本は見つけたら反射的に買うことにしている。今までハズレはなかったけど、どちらかというと、今回みたいに本自体が薄めのものの方が好き。

プロ野球に仙醍キングスという弱小球団がある架空の世界。そこで唯一のヒーローとして活躍した南雲慎平太が、その監督人生最後の試合に、相手チームのファールボールのせいで命を落とす。熱狂的ファンの山田夫妻はその屈辱的な試合を見ながら、一人の子を産む。「王(キングス)が求め、王に求められる」で王求(おうく)と名付けられたその子。図らずも「球」という字を崩したその名前の子供は親の期待通り異常な野球のセンスを見せる。

アマゾンに伊坂さんが手書きした言葉。あるキング

誰も読んだことのないような伝記を書いてみました。


伝記…伝奇も掛けてるのかも。確かに語り手も今までにはなかっただろう。…ってか、これを伝記と言い切るところが凄いな(笑)

いつものテイストとは少し違うかもしれない。伏線の鮮やかな回収で魅せる訳でもなく、胸がすくようなお話でもない。しかし、文章の巧さ・力強さは紛れもなく伊坂さんのもので、読んでいて気持ちいい。

不思議な世界観なのに、グッと引き込まれる。ベタなようでいて、きれいなオチ。

いつも何かテーマがある気がする。そのテーマを嘘くさくなく読者に読ませる。とびっきりの嘘で以て。
今回も後味まで爽やかで。

★★★★★(星5つ)
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