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腕貫探偵

2007年12月31日 01:53

どんなに眼と鼻の先に置かれていても、心身ともに健やかな者の視界には絶対に入ってこないというものが世の中にはある。見えていても見えていない。

腕貫探偵 (ジョイ・ノベルス)腕貫探偵 (ジョイ・ノベルス)
西澤 保彦

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僕らしく、今年最後の記事は西澤さんの本で閉めよう。さすがに、大晦日なんかに本の愚痴とか書きたくないですしね。

期待通りの西澤さんド真ん中な本でした。ちょっと怪しい設定なのに、妙にすっきりするお話。短編小説だけど、つながりのあるお話をちりばめて、全体をハッピーエンドで終わらせる辺りもそれっぽい。個人的に、物語をハッピーエンドで終わらせられる作家さんの方が凄いと思っている。ひねらないとオチがつかなかった、というようなお話って凄いと思えないわけで。
本当はそろそろ短編じゃなくて、長めの西澤さんっぽい本を読みたいという正直な意見もあるわけですが、今回それは置いておこう。

櫃洗市の苦情係という貼り紙とともに"いかにも"な市役所職員が現れる。愛想がなく、役所的なお堅い服装で、形式にやたらこだわる。
そして、わざとらしい腕貫。
現れる場所は学校の学生課だったり、病院の中だったり、やたら自由。都合いいところに都合のいいタイミングで現れる。

貼り紙には、なんでも相談してくれ、というようなことが書いてある。市に対する苦情だけでなく、個人的な悩みでもOKだとか。そして、そこに個人的な悩みを抱えた登場人物たちが通りかかる。

この探偵、存在自体がものすごく都合がいい。お話の問題部分とオチの段差を無理やりつなぎ合わせるために現れる。この探偵の視点は完璧にお話を知っている人の視点。だから、あの人の行動の意図はなんだったのか、というような微妙な問題に対しても、断定。
「まったくちがいますね」
「それは当たっています」
淡々と断定。これがけっこういい。何となく不可解なお話がピタピタとおさまっていく。

楽しめるお話でした。
僕の評価は★★★★☆(星4つ)
ちょっとこの形式多すぎないか?という辺りが気になったところ。
アマゾンの評価はハードカバーの方に一つだけ見つけた。
星3個らしい。

レビュー自体は流れるような日本語で書いてあって、アマゾンのレビューとしては秀逸。ただ、探偵の正体などが分かっていないから続きがあるかも、って話はどうなんだろう?今までのシリーズとはちょっと違う、という印象を僕は持った。

ところで、ロジックという言葉が気になった。他の本での問題の解き方は、
「AだからB。BだからC。だから答えは、C」
という感じで、これはまさにロジックという言葉がピッタリくる。
が、西澤さんの本では
「こういうストーリー考えてみたら、全体的に丸くおさまるよね」
という問題の解き方が使われている
他の本と比べるととても天下り的な答え、というか。答え先にありき、の問題というか。

西澤さんが提供する解が、他の解の可能性を排除できていたら、論理的なのかもしれない。必要条件で攻めるか十分条件で攻めるかの違い、と言ってしまえるのだろう。が、その点はかなり怪しい。
さて、西澤さんの本では、ロジックが使われているんだろうか?

まあ、楽しめれば何でもいんだけどね、という僕がいる。

というわけで、今年最後の更新を終わります。
では、良いお年を。
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コメント

  1. 樽井 | URL | -

    来年もよろしく

     こんばんは、というかもう既によいお年をという時間ですが。ほんっっっっとに突然更新が止まるからまた何かあったのかなぁとか思ってましたよ。
     でもまぁ、なんだか面白い街とか見つけてきていますねぇ。暇ができたらちょっと僕も手をだしてみようかな。

  2. 山形県 | URL | idSxwv0o

    あけおめです。

    物語をハッピーエンドで終わらせられる作家さんの方が凄い、というのは、ちょっとわかります。エンターテイメント的にはやっぱりハッピーエンドで終わるのがよいですよね。
    個人的に暗いえげついどうしようもない小説が好きなので、どうしてもそっちに走る傾向があるんですが、純文ならともかくも、幸せ幸せで終われる作家さんは能力があるんだと思います。
    特に漫画なんかはそう。とりあえず何でもシリアスにしたがる作家や漫画家は多いものですが、本気で凄い人はコメディ書いても言葉の端々に凄みが感じられますよね。

    西澤さんですか~。ちょっと興味沸いてきました。ミステリは好きなので(まぁ、本は何でも好きなんですが・・・…)、今度図書館で探そうと思います。短いのに楽しめる、みたいな探偵小説探してました。

  3. MaThy | URL | OARS9n6I

    樽井さん
    本当にすみません。
    適当な性格と若干の忙しさ、ストックの減少、そんなこんなんでこんな感じです。
    今年もよろしくお願いします。
    それにしても、来年もよろしく、ってのは斬新ですね(笑)


    山形県さん
    ひねれば何とでもなりそうな気がします。
    何か意味がありそうな終わり方って奴です。
    きれいならいいのですが、汚い場合、目も当てられない。
    で、ハッピーエンドって読者が皆期待してますよね。
    感情移入できればできるほど、主人公には幸せになってほしい。
    でも、その期待を上回れないと、読者には面白くない。
    ってな、わけで、僕はハッピーエンド、物語の王道でお話を終わらせられる作者さんが凄い、と、まあ、こんな意見なわけです。

    同じ感想を持っていただいてうれしいですが、内容はちょっと違うかな、と思いまして補足してみました。
    蛇に足というより、苔に足、くらいの付け足しですが、ご容赦ください。

    西澤さん、是非読んでみてください。
    えげつなくはないですが、「完全無欠の名探偵」とか「殺意の集う夜」とかごちゃごちゃしたのもあります。
    一番人気は「七回死んだ男」って奴らしいですよ。
    僕も大好きな本です。
    短く楽しめるのも好きですが、そっちは選ぶものによっては、若干弱いようです。
    参考になれば、良いのですが。

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