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青空の卵

2008年05月26日 18:30


そして振り返り、彼女の目を見てこう言った。

「出たくない。俺は、ひきこもりなんだよ」



青空の卵 (創元推理文庫)青空の卵 (創元推理文庫)
坂木 司

東京創元社 2006-02-23
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なぜか、たまに何も考えずに本を買ってしまう時がある。
この本も、何を考えて買ったのか全く思い出せないから、何も考えずに買ったんだろう。
記憶に残らない行動をとるようになった僕は、もう終りが近いのかもしれない。

手に入れた経緯はこのようにすこぶる怪しいけれど、楽しめる内容だった。

帯には、

名探偵はひきこもり


と書いてある。
酷いキャッチコピーだとは思う。

ちょっと普通のひきこもりとはイメージの違う主人公の鳥井。
職業はプログラマー。
鳥井が唯一心を許しているのが、語り手の坂木。

母親は彼を捨てた。
父親は優しいが仕事の方が大事に見える。
祖母は愛ではなく憎しみを彼に教えた。
さらに浴びせかけられた、級友たちからの理不尽な暴力。

誰も彼を欲しがらなかった。僕以外は。

だから彼は自分から身をひくようになった。
どうせ必要とされないならと。
彼の部屋のドアを叩き続ける僕以外から。


ちょっといびつにも見える関係を形成している二人。

そんな彼らの周りで起こる様々な事件を、鳥井がサクサクと解決…って、何か、もの凄いありきたりですね。

この本では、事件は基本的にどうでもいいようだ。
たぶんテーマは人との関係。
人との関係に不自由な鳥井が、他人の人間関係を修復しながら、少しずつ少しずつ成長していく話を、坂木が、若干寂しさを覚えながらも、綴っている。
その一つずつの人間関係が、そして鳥井の成長が、お話のメイン。

時に非常にやりすぎだったり冗長だったりする記述が現れる。
イライラするような嘘くさい部分も。
素人臭がする、と言ってもいいかも。

でも、時々、心が動く。
きっと、僕が幸せに飢えているからなんだろうけど、まあ、楽しめてしまったものは仕方ない。

僕の評価は★★★☆☆(星3つ)

この本に関するレビューを書いている方がいました。
僕のよりも断然内容が濃いですよ。
『樽井さんの読書&電化よもやま日記』でのレビュー

お話が一部隠されていて、不思議な出来事に見える出来事がポツポツ観察され、名探偵がそれをあざやかにつないで見せる。
そんな形式のお話が流行っているのかもしれない。
僕が好きで、たまたまよく読んでいるだけなのかもしれないけど。
そういう本で特に気に入っている作家が西澤さんと北森さん。
ご興味のある方は、僕が楽しめた本を集めてみた以下の記事も参考にしてみてください。

ナイフが町に降ってくる
親不孝通りディテクティブ
屋上物語
メイン・ディッシュ
腕貫探偵

アマゾンでの評価はこんな感じ。
24件のレビューに星は3.5個。
もの凄い賛否評論。
誉める人は凄くほめて、けなす人は怒りを全面に押し出している。

すんごい拙いからね、本自体。

優しいお話だ、と思った頭のゆるい人たち。
僕も間違いなく、そっち。
でも、そんなゆるい僕も、評価の低いレビューに納得できる。
どっちかというと、そっちの方が正しい気もする。

今回は、たまたま何か引っかかるもんがあって、楽しめたんだろう。
運が良かった。
そして運が良い人が、けっこうな人数現れる本ではあるようだ。
特殊な本だと言えるかもしれない。

運だめしがしたい方は、是非チャレンジしてみてください(笑)
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コメント

  1. さーにん | URL | -

    記事のはじめの主人公の言葉をみて、パピルス新人賞の「みなさん、さようなら」を思い出しました。
    が、全然系統の違う本だったみたいで(^ ^;)ゞ
    「青空の卵」 とても綺麗な装丁ですね。そして、MaThyさんは楽しめたのですね。私もメモしておきます。

    PS.お言葉に甘えてTBさせていただきました。

  2. MaThy | URL | OARS9n6I

    むしろ、その本を知りません。
    というよりは、あんまり本のことを知らないだけかもしれません(笑)

    楽しめましたね。
    きっと僕みたいに単純な人は楽しめるはずです。
    たぶん、ですが。

    トラックバックはありがとうございました。

  3. maiko | URL | -

    とても、面白い、ブログですね。
    今までの記事をどんどんと読み進めてしまいました。
    私も、書評などをブログに書いているので、もしよかったら見てみてください。

    これからも、訪問させていただきます。

  4. 樽井 | URL | -

    自分は楽しめましたよ

    こんばんは。
     三部作ともきっちり読ませていただきました。確かにご指摘の通りです。ときに冗舌だったりやりすぎていたりくどかったり、ご都合主義だったりする部分もあるし、なによりひきこもりの人に対しての視点に、賛否両論がある本だとは思います。
     でも、僕的には楽しめました。
     頑な感情がほぐれていく描写も、作品それ自体の雰囲気もけっこう好きです。

  5. さーにん | URL | -

    「みなさん、さようなら」は、小学校卒業時から20代半ば(だったかな)まで徹底的に引きこもる男の子のお話です。引きこもるというか、正確には学校へは行かず、しかし勉強も恋も就職も自分の住む団地内ですべてまかなって自活(?)するのですが。
    うちの高校生女子は この本を読んで「なんかコワイ。好きじゃない」と言ってました。
    が、私は勢いがあってけっこう良かったです。パピルス大賞をとった新人さんの作品です。

  6. MaThy | URL | OARS9n6I

    maikoさん
    どうもありがとうございます。
    また、いらした時はコメントなどください。

    樽井さん
    そのようですね。
    僕たちはラッキーだった、ということでしょうか。
    雰囲気を損ないかねない冗舌は危険かもしれませんが、独特の見方はうまくすれば、良い要素にもなりえますし、僕も満足でした。

    さーにんさん
    …何か凄い設定の話ですね。
    設定だけ聞けば、コワイのもうなずける感じですが…。
    また、機会があったら、手にとってみたいと思います。
    紹介していただいてありがとうございました。

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