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アンノウン

2008年10月20日 02:50


 自衛隊が本来の活躍をすることはあってはならない。日々の努力の成果を発揮してはならない。それが平和というものであり、武力を持っている組織は国民から白い目で見られている間が幸せなのだと朝香二尉は言った。
 しかしそれは隊員の存在意義を奪う。「いったい何のために」というセリフを、俺は酒の場で何度も拝聴してきた。日頃は使命の重要性を説く上司が、前後不覚になったとき愚痴をこぼす。



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中学生か高校生くらいの頃にはじめて読んで、凄く面白かった印象があった。
近頃、文庫になっているのを見つけて、ちょっと買いなおしてみたわけです。
これがやっぱり面白くて。
ちなみに、昔に読んだ時は講談社の新書でした。
なぜか文春文庫。
大人の事情は分からないが、こういうのって本を見つけにくくすると思う。
今回はたまたまでも見つかって良かった。

自衛隊の基地が舞台。
そこで隊長室の電話に盗聴器が仕掛けられているのが見つかった。
厳格で几帳面な隊長で、施錠はほぼ完璧。
そもそも、隊長室を離れることがほとんどない。
誰が何の目的でこんなことを?

事件そのものは小さいし、答えもインパクトに若干欠けるかもしれない。
でも、「自衛隊の基地内」という特殊性がかなり面白い。
むしろ、事件の部分はおまけなんじゃないかとも思えるくらい新しい世界。

お話の中で絶えず問われる自衛隊の意義。
国民のために命をはり、その国民から疎まれる。
彼らは制服姿で外も歩けないのだ。
それが正しいのか。
読者は強く考えさせられることになる。
たぶん元自衛官である著者も、できるだけたくさんの人に考えてもらいたくて、軽い見た目の本を書いたんじゃないだろうか?

シリアスな問題を残しつつも、なかなか爽快な本でした。

解説が面白かったからいろいろ抜き出してみよう。

しかしそれでもタマタマ戦後六〇年日本が侵略されなかったのは憲法九条のおかげとマジで信じ切っとるアホが日本に少なからずおるから、不思議である。


国防の最前線に立ち、青春をきびしい訓練に捧げてきた若者たちに、平和を享受しまくるだけのボケ共は何をしてきて、せんかったか。


この書はサスペンス小説の皮をかぶった、我が国に対する警鐘なのである。



食わず嫌いも多そうな本であるけれど、けっこう読んでみてもらいたい本だったりする。
評価は★★★★☆(星4つ)

雰囲気が近そうな記事?
砂漠

関係は薄い気がするけど、たまたま見つけたお話のコピー。

 2年前旅行先での駐屯地祭で例によって変な団体が来て私はやーな気分。
 その集団に向かって一人の女子高生とおぼしき少女が向かっていく。

少女「あんたら地元の人間か?」
団体「私達は全国から集まった市民団体で・・・云々」
少女「で、何しにきたんや?」
団体「憲法違反である自衛隊賛美につながる・・・云々」
少女「私は神戸の人間や。はるばる電車のって何しにここまで来たかわかるか?」
団体「・・・・?」
少女「地震で埋もれた家族を助けてくれたのはここの部隊の人や。
   寒い中ご飯作ってくれて、風呂も沸かしてくれて
   夜は夜で槍持ってパトロールしてくれたのもここの部隊の人や。
   私は、その人たちにお礼を言いに来たんや。
   あんたらにわかるか?
   消防車が来ても通り過ぎるだけの絶望感が。
   でもここの人らは歩いて来てくれはったんや・・・・」

最初、怒鳴り散らすように話し始めた少女は次第に涙声に変わっていった。
あまりにも印象的だったのではっきり覚えている。
団体は撤退。
彼女は門をくぐった時に守衛さんが彼女に社交辞令の軽い敬礼ではなく直立不動のまま
敬礼していた。



参照ページ
文庫版レビュー
新書版レビュー

少なめのレビューにそこそこの星の数。
確かにミステリとして見た時、そこそこの出来になってしまうんだろう。
古処さんの他の本よりお話自体の威力が欠けるのではないか、という意見もうなずける。
でも、何かレビューを読んでるとレビューを書いた人のこの本に対する好意が見える気がする。
いい本だなぁ、と改めて思いました。
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コメント

  1. 樽井 | URL | -

    確かメフィスト賞系列でしたね

     こんばんは。
     ほんにどうして講談社のメインが文春文庫にいっているんだか。あ、でも、森博嗣のスカイクロラも結構売れているのに文庫は中公文庫からだったような、、なにかそういうルートがあるのかも知れませんね。
     それはさておき、自分も自衛隊絡みの話ということで変に政治的イデオロギーが強すぎたり押し付けがましかったら嫌だなと思って敬遠して読んでいなかった本です。でも爽快な感じに仕上がっているのなら、読んで見ようかなと思いました。
     

  2. MaThy | URL | OARS9n6I

    樽井さん、こんばんは。
    講談社のメインなのかどうかは知りませんが、よく分からない話です。
    スカイクロラは元々、中央公論新社から出ているんで、ちょっと不思議さを理解できないですが…
    まあ、大人の事情はおいておきましょう。

    やっぱり、食わず嫌いが多いんでしょうね。
    あまりのもったいなさに、思い切って「読んでみてもらいたい」と書いてみました。
    これは、僕の中ではけっこう勇気を絞った感じです。
    他に満足がいかないところを見つけたとしても、それは「政治的イデオロギー」のせいではないと思います。
    意味も知らない言葉ですので、自信ないですが(笑)

    是非。

  3. 樽井 | URL | -

    勘違いしていました

     スカイクロラは講談社でなかったのですね。ノベルズで講談社からたくさん森本が出ていたので勘違いしていました。不思議も何もなくて、たんにこちらの勘違いなのでした。ごめんなさい。
     さて。今日ちょっと本屋さんで探してみましたが、小さい本屋さんだったのでなかったですが、近々これは読んでみます。読んだらまた感想アップさせていただきます。

  4. MaThy | URL | 6pCN/y2A

    あ、なるほど。
    一瞬勘違いの可能性も考えたのですが樽井さんの情報収集はいつも緻密なんで何かあるのかと…
    もしかして、講談社と中央公論社の間に大人の事情か何か…と思ってちょっと検索もしたのですが、分からず(笑)

    小さい本屋にはないかもしれませんね。
    僕もアマゾンで買いました。
    実はアマゾンを使って本を買ったの、初めてかもしれません。

  5. 樽井 | URL | -

    ちかぢか

     こんばんは。
     「アンノウン」、入手できました。思った以上に柔らかい文体なんですねぇ。さくさくと読めそうです。ちかぢかまた感想など書かせていただきます。御紹介ありがとうございました。

  6. くー | URL | qPkDvim6

    はじめまして

    時々読ませていただいてましたが、コメントせずにいました<(_ _)>失礼シマシタ

    この「アンノウン」、興味がわいたので読んでみました!
    確かにサスペンスの部分はふつうでしたが、逆に普通だからこそ自衛隊の基地内という特殊な空間のお話であることが際立っていたように感じました。
    事件そのものよりも、内部から見た自衛隊、一人の青年の姿、その任務、生活などがこの本を通じて知ることができたのが良かったです。
    解説にもありましたが、無関心は国を亡ぼす…知らないままでいろいろ言ってはいけない、まず知ってからイイとかワルイとか主張すべきなのかなぁって思いました。

    いい本を紹介してくださってありがとうございます(^^)
    自分のブログで読んだ本の感想を書いているのですが、こちらの記事をリンク・トラックバックさせていただいてもいいでしょうか??
    (不都合でしたらすぐに削除します!)
    よろしくお願いします!

  7. MaThy | URL | OARS9n6I

    くーさん

    はじめまして。
    もう読んでくださるのなら、けなされようが何しようが、嬉しい限りです。
    ありがとうございます。
    そして、こんな駄文で興味を持っていただけたとか、本当にありがたい話です。
    この本がくーさんに新たな知識の刺激となったなら、予想外の喜びであります。
    …僕が書いた本じゃないんで、僕が言うセリフじゃないんですけど(笑)

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