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チャイルド44

2009年03月30日 20:25

この社会に犯罪は存在しないという基盤を。

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
Tom Rob Smith 田口 俊樹

新潮社 2008-08-28
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2009年の「このミステリーがすごい!」で海外版トップだった小説。
暗い雰囲気で爽快感は少ないが、意外と楽しめたかも。上下2冊はちょっと長い気がしますが…。

スターリン体制下のソ連で、連続殺人事件が。何が特殊かというと、この事件が連続殺人事件として扱われない点。
表向きは次々と事件が解決していく。その解決は時には事故として処理されるというものだったり、時にはいかにも怪しい誰かが捕まるというものだったりする。
犯罪はあってはならない=犯罪は存在しない、が成立した社会の歪さ。

歪な社会では、正しさが求められるはずの警察も歪だ。できれば、犯罪であって欲しくない。犯罪数は国家が決めた通り、少しずつ減っていかなくてはならないからだ。もし犯罪数の制限を守れなければ、国家に対する反逆行為になり、きっといつか反逆者として捕まる。だが、事件が解決されないことも、同様に反逆だ。結果、事故や、障害者のような罪を着せやすいものの犯行、というところに落ち着く。

国家保安省の捜査官であるレオはかつての英雄だった。出世コースを歩んでいたが、あるスパイ容疑者が絡んだ事件が原因で転落していくことになる。彼の転落とともに、社会状況が語られる前半部分は方法として秀逸だと思った。
出世コースからこぼれた彼の前に、一度は自分が事故として黙殺した連続殺人事件が再び現れる。存在しない犯罪を追うのは明らかに国家に対する反逆であるが、国家に疑いを抱き始めたレオは事件に関わる道を選んでしまう。これは、彼に関わりのあるもの全てを巻き込むことを意味する。親も妻も友人も。そして、一人でも裏切れば、即逮捕され銃殺されるか、苛烈な強制労働に送られ死ぬか、どちらか。

事件自体は特殊ではない。ちょっとくらい猟奇的でも、それが原因で本のネタとして特殊だということにはならないだろう。
でも、この本が可能になる背景の部分が凄すぎる。
そして、その社会に絡められ語られる人間のつながり。暗い社会に翻弄される幼い兄弟たち、そしてレオとその妻であるライーサのつながり。常に危険が仄めかされているため、続きは気になりっぱなし。
しかし、それと同時に気が滅入ってしょうがない。暗いしやるせない。
けっこう頑張って読んでしまったのに、手放しに「面白かった!」と言ってしまえない重さは、ちょっと疲れてしまったかも。

★★★★☆(星4つ)
上巻のレビュー
下巻のレビュー
よく分からないが両方にレビューが。そして、上巻の星は4個に対し、下巻は3.5個。後のほうになって後悔したくない人は要注意?

面白かった人も多いけれど、不満も多い様子。僕もちょこっと書いた「長さ」
いちいち人に関する描写が長いという意見はチラホラ。

そして、オチに対する驚きの少なさ。これについても、確かにその通りだと思う。
最後の方は、ほとんど明らかになった状態でお話が進むし、明らかになった部分だって、大きな驚きではないし、人によっては「ご都合主義だなぁ」と感じてしまうかも。

やっぱり、良い評価は取り扱った題材に対して下されたものだろう。そこに興味を持ってひきつけられたら、楽しめるのかもしれない。
暗い題材であっても、楽しめそうだという人はチャレンジしてみる価値ありかも。
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コメント

  1. 樽井 | URL | -

    Re: チャイルド44

     こんばんは。
     この作品、自分的にはテーマの選択と背景が加味されての評価ですが、なかなかよかったんじゃないかなと思います。確かに、長いし気がめいってくる記述がやたらと多いのですが、読み応えという点ではなかなか良かったかなと思います。
     ひとつだけ気になったのは、、、あの妻の心身ともにタフすぎること。あの奥さんはある意味でレオより凄いですよ。

  2. MaThy | URL | -

    Re: Re: チャイルド44

    樽井さん

    こんばんは。
    コメントありがとうございます。
    今、手元のパソコンがネットにつながってなくて、こんなグダグダな返事ですみません。

    奥さん。凄かったですねぇ。
    僕はこの作品で最も気に入った点が奥さんでした。
    その次がテーマですかね(笑)
    たまに読むのなら、こういう本も良いですよね。

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