神様のパズル

2006年10月01日 02:36

神様のパズル 神様のパズル
機本 伸司 (2006/05)
角川春樹事務所


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「宇宙は"無"から生まれた」と、彼は言った。「すると人間にも作れるんですか?無なら、そこら中にある――」


この本は第三回小松左京賞受賞作らしい。
圧勝だったとか。

主人公は成績の極めて芳しくない大学4年生。
彼が一年間の日記をつける、という形式のお話。
彼が、卒業研究の時期になり、研究室に配属される。
その研究室にはある問題児も配属されている。
問題のある行動だけならまだしも、そいつが天才だからまた手に負えない。
世間でも有名な天才少女…。

主人公は成績のために(?)、その問題児と行動を共にすることになる。

さて、その研究室のゼミのテーマが決まる。
「宇宙は作れるか?作れるとしたら、どうやって作れるか?」
作れる派と作れない派に分かれて、ゼミを展開していくのだけれど…。

この本はSF小説らしいが、僕にはあまりその印象はなかった。
SF小説というものを誤解しているのかもしれない。
とりあえず、ごく現実的な世界でお話が進んでいく。
ゼミで宇宙が作れるかどうか議論し、粒子加速器で研究活動のお手伝いをする。
バイトをし、なぜか農業のお手伝いをする。

確かに少し未来設定で、少し近未来的な道具が出てくるし、若干現実的でない手法が出てくるかもしれない。
だけど、たぶん物理に関する記述などは現実のものなんだろう。
分からないけど。

ゼミでは議論が主。
動きの少ないお話だ。
宇宙は作れるか、というテーマに沿って宇宙論の最先端の概論的なものが繰り広げられている。
宇宙が作れる派の主人公・天才少女チームと、作れない派のその他という構図でゼミは行われる。
この組み分けのせいで、この主人公は結果的に最低の一年間を過ごすことになる。

人間関係はほど悪くドロドロしていて、僕としては主人公をかわいそうに思う気持ちが読み終わっても消えない。
キレイな終わり方を演出したかったんじゃないか、と思うんだが、その割に切な過ぎるかも……

解説を読むと、僕が全然分からなかった物理の記述はごく初歩のものだったと書いてある。
SFの世界は奥が深いものだと思った。
本当は物理の知識がない読者を切りすぎてるんじゃないか、とつっこもうと思ったんだけど、さすがにやめておこうと思う。

小説自体はけっこう面白く、つまり、なかなかいい本だと思った。
僕の評価は★★★☆☆(星3つ)

アマゾンのレビューはこんな感じ。
評価はとてもいい。
議論が分からなかった、人物が描けていない、お粗末なオチ、などの批判があって、少し評価が落ちている模様。

議論が分からなくて、つまらなかった人はお粗末なお話だと感じたかもしれない。
まあ、この本が対象とする読者じゃなかったと諦めるほかないだろう。
ただ、人物が描けていないというツッコミはツッコミとして成り立っていないと常々感じている。
たぶん、こういうことを書いているレビューには注意するべきだと思う。
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