スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

完全無欠の名探偵

2010年05月01日 05:07

ですからそれが山吹の特殊能力なのです、あの若者は話している相手の潜在意識を言語化させることができるのです

完全無欠の名探偵 (講談社文庫)完全無欠の名探偵 (講談社文庫)

講談社 1998-05
売り上げランキング : 493029
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


この本を読むのは2度目だ。そもそも、西澤さんの本にはまるきっかけがこの本。一度目はもう10年以上前だったと思う。

最近、読書を何となく楽しめない。そういう体質になってしまったのか?と不安になり、過去に最高に楽しめた本を漁ってみることにした。その時、初めに思い出したのが、西澤さんの本たち。4冊ほど買って、一気読み。
大丈夫、僕が本を楽しめなくなった訳じゃない。オチが分かってるのに、この本たちは面白い。

山吹みはるという男が、主人公。とある事情で、大学の事務として働くことに。そこでいろんな人と話すことになる。大学の同僚、生徒、先生…

この「話す」というのが、この本では肝になる。みはると話している相手は、舌が滑るように喋りたい気分になってくる。「あれ?なんでこんなこと話してるんだろ?」「自分、こんなこと覚えてたんだ…」なんて思うようなことを気がついたら話している。

話しているうちに、ふと、自分がなぜそんなことを覚えているか、どこが引っ掛かっていたかに気づく。あの時、あの人は、もしかして、こんなことをやろうとしてたんじゃないか…。

みはるはただ相槌を打つだけ。自分は一切考えない。むしろ、相手の至った結論にも気づかない。

会う人会う人、今まで気づいていなかった疑問に答えを出し始める。すると、それが少しずつつながっていくのが、読者には分かる仕掛け。

一つ一つ、小粒ではありながら、それなりに楽しい推論が、積み重なっていく快感。仕掛けは、これだけじゃない。たとえば、みはるの話と交互に語られる、ある少女の話。この話が本筋にどう絡んでくるか…

これは、何度読んでも面白い。

ところで、西澤さんの本の中でこの本が特徴的に思える部分があった。不思議な能力に対して意味付けを行おうとしている点。意味付けといっても、ある種SF的な意味付けで、上記のみはるの能力が科学的に説明される訳ではない。でも、不思議な能力がありまして…ってだけでは終わらないのが、これまた意外と、悪くない。

あくまで、ミステリー的な部分に重きを置きつつ、周辺も楽しく飾る。良いのではないでしょうか?

★★★★★(星5つ)
[完全無欠の名探偵]の続きを読む

ランキング


新参者

2010年01月03日 08:19

なぜ日本橋にやってきたのかも不明です。この街にとっては謎の新参者というわけだ

新参者新参者

講談社 2009-09-18
売り上げランキング : 207
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


かなり話題になってましたね。『このミステリーがすごい!2010』でも1位だったようですし。偶然この時期に読んでいたお陰で、2010年の一冊目を何にするか悩まずに済みました。ラッキーです。

講談社の特集ページでは東野さんの短いメッセージなんかも読めるみたいですね。
講談社 BOOK倶楽部:新参者

最後のドミノを倒したときの達成感は、作家として初めて味わうものだった。


東野さんがドミノで例えているように、この本は連作短編になっている。読者は、きれいに倒れていくドミノの一部をところどころアップで見ていくことになる。いろんなところできれいな模様ができて、東野さんが達成感を味わった、気持ちのいい絵柄が浮かび上がる。

加賀恭一郎って刑事の本はシリーズなんですかね?何となく読んだことある気もしますが、有名な主人公のようです。ある女性が被害者の殺人事件を、所轄の刑事という立場で捜査するのですが、一つ一つの着地点は微妙に事件の捜査からズレているように見えます。
それに対して話の中で登場人物から疑問を投げかけられるんですが、それに応えて曰く、

捜査もしていますよ、もちろん。でも、刑事の仕事はそれだけじゃない。事件によって心が傷つけられた人がいるなら、その人だって被害者だ。そういう被害者を救う手だてを探しだすのも、刑事の役目です


丁寧に刑事の役目を果たしていき、もちろん、「皆が幸せに」とは行かないけれど、一番上手くまとまる形で事件が解決する。

ちょっとお話が薄いと思いました。今回は、この形式と人形町の雰囲気を見せたかった、ということだろうけど、「東野さんのお話は重い」という印象だったので意外だった。もちろん、薄い方が好みなので、満足度としてはプラスだけども。
ファンの人は、東野さんのお話に対して、どんな印象を持ってるんだろう?僕が間違ってるのかな…?

僕の東野作品への印象はさておき、上手いお話も、優しいお話も、薄めのお話も好きなので、この本に関してはかなり満足できました。
★★★★★(星5つ)
[新参者]の続きを読む

ランキング


SOSの猿

2009年11月26日 01:41

「救急車、どこに行くの」と訊ねていた。
母は即答した。「どこかでね、誰かが、痛い痛い、って泣いているんだよ。だから、助けに行くんだよ」


SOSの猿SOSの猿

中央公論新社 2009-11-26
売り上げランキング : 47
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


伊坂さんの新しそうな本、買っちゃいました。ちょっとずつ、ゆっくり読むつもりだったのに、なかなか上手くいかないもんです。

読売新聞に連載してたんですね。そういえば、一回見たような記憶があります。ちょこちょこ読むのは耐えられないな、と思ってみなかったフリをしたような記憶が。
五十嵐さんって人がこの本と対になる「SARU」って漫画を出すようなことも巻末に書いてありますね。

内容ですが、主人公の二郎が、SOSを求められるところから始まります。誰かが困っていたら、首を突っ込まずにいられない性格の二郎は、精一杯断ろうとするのですが、やっぱり、できる限りのことをすることになります。

知人の息子が引きこもりで…。そのSOSに取り組む二郎の「私の話」と交互に語られる「猿の話」。証券会社で起きた誤発注の原因を探る生真面目な男と、男が出会う奇妙な因果関係が語られます。

二つのお話に絡みつくように出てくる西遊記。いろんなところに現れては消える孫悟空がかき回すかき回す。何が本当で何が幻覚なのか?そもそも、そんなところに意味はあることか…?

やっぱり、心地よく読める。いろんな「惑い」を持ってくよくよするのが、ひどく良い。嘘正しいと思う。物語臭いまま、すっきりできる感じが潔くて、好きだな。

評価は★★★★★(星5つ)

…おっと、アマゾンにはまだレビューがないようですね。珍しい…。
というわけで、今日はここまで。


広告




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。