訪問者

2009年06月19日 23:24

「君は、訪問者かね?」

訪問者訪問者
恩田 陸

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恩田さんっていろんなタイプの本を書かれる。僕はその中で「ああ、よく作りこまれているなぁ」と思える本が好き。今回は、「やや作りこまれてる」くらいかな。読んで損をした、とは思わないくらいの…。

映画監督であった故・峠昌彦についてのインタビューと称して、井上は4人の老人に近づく。その4人は昌彦の実の父親候補。井上は身分を偽って、誰が父親かを探りにきたのだ。老人たちは老人たちで「訪問者に気をつけろ」という手紙を受け取っている。身分を隠して近づいてきた井上への不信感が募る中、昌彦と似たような状況で死んだ千沙子の影が至るところに現われてくる。さらに、嵐で外部と遮断されたところで、突如現れる謎の死体。

死の謎についての推理という点では木曜組曲に近いかもしれない。でも、木曜組曲の方が断然作りこまれていたという印象。実際、上のあらすじを読んで頂いても分かるように、お話自体はありきたり。オチも、決して意外なものではなく、むしろ、すっきり度は低め。

期待しすぎると、凹んでしまうかも?
時間つぶし、と思うとそれなりに満足かも?

僕の評価は★★★☆☆(星3つ)
もしどちらかを選んで読むなら、100%木曜組曲だと思います。
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まほろ駅前多田便利軒

2009年03月19日 22:23

そのチャンスは残されている

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)
三浦 しをん

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「忙しい年になる」曾根田のばあちゃんの予言通り、その年に便利屋の多田が関わる人たちは何だか問題ばかり抱えている。
その中でも事あるごとに多田を悩ませるのが元同級生の行天(ぎょうてん)。初仕事の帰り際に、行天を拾うところからお話が展開していくのだが、とにかく困った奴で。住むところのないからと、便利屋に居候。すすんで仕事を手伝うでもなく、しかし、仕事には付いて来たがる。たまに役に立つのだけれど、人の目を気にしなさすぎる振舞いは多田を困らせるばかりだ。

少しずつ匂わされていくのだけれど、多田も行天も暗い過去がある。それは、大事なものが自分から決定的に離れていってしまった記憶。絶望的に修復できないものを抱えた時に、人はどうしたらいいんだろう?便利屋に関わる人たちとその問題が、時に多田の記憶を刺激する。

お話はシリアスな雰囲気を匂わせながら進み、しかし、行天や他の登場人物のキャラクターのお陰で暗くなりすぎず、読み心地に関して言えばむしろ軽めのテイスト。匂わされたクライマックスへの期待半分、心地いいお話だなって印象半分、「何か中途半端だな…」という気持ち半分(あれ?計算が合わない…)。
中途半端だって印象は心地よさと一体なのかな。多田の過去は、そこまで予想外でもないし、お話のオチもそんなに強くはない。それで、お話の引っ張り方とオチの威力はバランスが取れていない気がしたけれど、その「ああ良かったね」で終われるお話の作りが、心地よさに一役買ってるのかもしれない。
特に悪い印象なく、時間を潰せるかな、という一冊だと思いました。

★★★☆☆(星3つ)

また、『まほろ』というのは町田をモチーフにした街らしい。町についての描写が気になる人は、
山路を登りながら、こう考えた。:まほろ駅前多田便利軒 - livedoor Blog(ブログ)
こちらのブログ記事など参照にされてはいかがでしょう?


本の山で、この雰囲気に関連しそうな記事
本の山。 卵の緒 -
本の山。 くちぶえ番長 -
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しゃばけ

2009年01月12日 07:28

「まったく、妖より恐ろしいのは人でございますよ。先刻私が申し上げたかったのは、そのことで」

しゃばけ (新潮文庫)しゃばけ (新潮文庫)
畠中 恵

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江戸を舞台にしたファンタジー。主人公の廻船問屋の若だんなはとびっきり病弱で、ほとんど布団の中にいるような生活をしている。そんな若だんなの世話をしているのが、なぜか超過保護な妖怪たち。若だんなはある夜、そんな妖怪たちの目を盗んで屋敷の外に抜け出す。そこで、殺人事件を目撃して…

ちょっと前から、買おうか買おまいか、悩んでいた本でした。結果は、可もなく不可もなく…よりはちょっと残念だった方かもしれません。でも、あまり後悔もなかったりで、複雑な印象を持ってます。

若だんなが事件を目撃した日から、奇妙な事件が始まります。薬種問屋を営む人が次々襲われるんですが、犯人は全て別人です。でも、奇妙な共通点がありまして。どうやら、必死に何かの薬を探しているようなんですが…。その事件に若だんな自身が絡んでいきます。

で、その展開がやたらノロいんですよ。思わせぶりな点だらけですが、見せ掛けだけで実際はミステリーでもないんで、謎の解明が待ってる訳でもない。痛快なオチがつくこともありません。特に始めの方はお話のスタンスも分からなくて、ちょっと苦痛でした。

それが、ずっと読んでると、ちょっと面白いような気がしてくるんです。完全にハマるって感じではないですが、「こんなのもいいかな」と思えてくる。最後は、「めでたし、めでたし」と言って本を閉じれる気分でした。途中で本のスタンスに気づいたのかもしれませんね。全く意識はないですが。

で、何を書いた本なんだろう?と改めて考えると、これまた分からない。頭に残ってる場面もそんなに多くなくて、メッセージが隠されてある様子もない。

もう、雰囲気なんだろうな、と。頭を空っぽにして、雰囲気にどっぷり浸れたら「若だんなが偉かったです」とかって満足感を得られるんだろう。僕はちょっと中途半端なところにいるみたい。

評価は★★★☆☆(星3つ)
完成度が高い小説じゃあない、とは思うんですがね。

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本の山。 精霊の守り人
今は「ファンタジーと言えば、これ」くらいの気分なんで(笑)
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